俺、兄貴になりました②




一歩ずつ彼女に近づく度にドキドキと高鳴る心臓。


やべえ…バクバクしてんぞ。


少し戸惑っている彼女の前で立ち止まる。



「あ、あのさ…いつも思ってたんだけど、そこじゃ見えづらくない?」



この扉は体育館の隅にあって、少し見えづらい。


話すことがそれしかなかったから言ったけど、これは本当にいつも思ってること。


「あ…大丈夫だよっ…私、ここから見るのが好きだから…」



顔を真っ赤にして笑う彼女が、すごく可愛かった。



「そっか…。俺、久遠慶っての。愛美ちゃん、だよね?よろしく!」


「あ…よ、よろしくお願いしますっ…!!」



バッと勢い良く頭を下げた愛美ちゃんを見て、思わず笑ってしまった。



「え?け、慶くん?」



アタフタとする愛美ちゃんが可愛くて。



「ごめんごめん。そんなに勢いつけなくても…ははっ」



俺につられたのか、愛美ちゃんも恥ずかしそうに笑みを浮かべる。


その表情を見て、俺は思ったんだ。



あぁ、やっぱ好きだな…って。