「そしたら、俺必要ないじゃんって。この家から俺一人くらいいなくなったって変わらないって…そう思ったんだ」
「だから、出て行こうとしたのか?」
「そう」
もう繋ぎとめることができないのなら。
離れて行ってしまうのなら。
「自分から離れて行こうって…」
離れられて行くより、全然マシだ。
翔にぃは立ち上がると、俺の腕を引っ張って立ち上がらせた。
「翠、帰ろう」
「え…」
「翠の気持ちはよく分かった。けど、離れて行くかどうかは、もう一度家に帰ってから決めな?」
そう言って笑う翔にぃの顔は、とても優しくて。
俺はその笑顔に引かれるように、ゆっくりと頷いた。



