「翠、俺はお前の気持ちに気づいてやれなかった」
ぎゅっと俺を抱きしめる力が強くなる。
「お前は強がって何でも溜め込んじまう性格だってこと、分かってたはずなのに。
お前が最近リビングで一人でいること、本当は気づいてたんだ」
気づいてた…?
「気づいていたのに、何もしなかった。翠はしっかりしてるし、大丈夫だろうって思ってたんだ。
自分を抑えて家事をしてくれてることも分かってたのに。
俺は、ありがとうも言えてなかったってことに今更気づいたっ…。
ごめん。ごめんな、翠っ…。俺は兄貴失格だ…」
翔にぃの言葉が、スッと俺の中に入り込んでくる。
この暖かい温もりに、涙が溢れる。
あぁ、俺…今、気づいたよ。
この分からない感情の意味…。



