俺、兄貴になりました②




気づいたら、走り出してた。


体が勝手に、動いてた。



「翠っ…!!」



翔にぃの声にも振り返らずに、俺は家を飛び出した。



走って、走って。


走り疲れて、近くの公園のベンチに座った。



ここまで来れば、きっと誰も分からない。

… その前に、こんな俺のことなんて誰も追いかけてこないよね。


…もうこれで、本当に帰れなくなっちゃったな…。



ジワリと滲む涙をグイッと拭う。


高2にもなって、俺、すっげえダセェ…。


夜の冷たい風に吹かれているうちに、少し頭の中が落ち着いてきた。



叩かれたの、初めて。


きっと、翔にぃも弟を叩いたのも初めてだったと思う。



翔にぃは俺の言葉に怒ったんだ。



俺が、俺なんかって、言ったから。


分かってる。


翔にぃが俺たち弟のことを大切に思ってくれてるってことは。


自分でブラコンとか言っちゃうくらいだし。



だからきっと今頃、俺を叩いてしまったことを後悔してるはず。


翔にぃは悪くないのに。


俺が悪いのに。


翔にぃは、そういう人だから。