俺、兄貴になりました②




進路調査票を提出したその日の昼休み、担任に呼び出された。



「進路のことなんだが…久遠、両親には相談したのか?」



両親…。



「…両親なんて、いないようなものですから」



仕事が忙しくてほとんど家にいないのだから、いないのと同じ。



「でもなぁ、お前これは…。兄貴には話したか?」


「言ってません」


「言ってない?お前一人で決めたのか?」

「はい、兄達は忙しいので。俺なんか相手にしてる暇はありませんから」




迷惑だけは、かけたくない。


だから、言わない。




「先生、俺今から整備委員の仕事があるので」


「おぉ、そうか。分かった」



先生に「失礼します」とだけ言って、職員室を出た。




もういいんだ。


俺は……。



頭の中に浮かんでくるのは、兄弟の笑顔。

けれどそこに、俺の姿はない。



俺は…必要ないんだから。




その瞬間、俺の心が真っ黒に染まった気がした。