「悠馬!パスッ!」

「おう!」

 
 俺―有田悠馬―。サッカー部1年。3年生が引退した、この秋!マジでスタメンを狙ってる。




 ある日・・・。


サッカー部のミーティング。

 「これから今度の練習試合のスタメンを発表する。」

 ついにこの日が来た。

ホワイトボードに貼られた大きな紙。


俺の名前は・・・。


「あった・・・。」

MFの右サイド。今日の練習と同じ場所。

これならいける。この練習試合で監督に猛アピール出来る。


「おい!悠馬。良かったな。」

同級生で親友の猪井楓(いのい ふう)。
競争率の低いDFで、中学から成績は残してたから、ずいぶん前からスタメンに入ってた。

さすが余裕の態度。

「あぁ。」



 スタメン入りしてから、練習もハードになった。

朝から夕方まで走りまくった。



 そんな帰り道・・・。


「悠馬。」
「ん?」
「スタメンに選ばれなかった先輩いたじゃないか?」
「いたね・・・。」

「注意したほうがいいぞ。先に選ばれた悠馬を結構恨んでるらしい・・・。」
「なんとなくわかってる。少しだけど、嫌がらせしてくるから。」
「そっか・・・。ならいいけど・・・。」
「うん。」
 
 分かっていた、・・・分かっていたけどそれ以上の事が起きた。