でも、鏡の中の女の言っていることがよくわからない。
「戻シテ…戻シテ…元ノ場所ニ…。」
女はずっとそれしか言わない。
「か、か、香織!い、行こう!!」
恵は半分悲鳴の状態で叫んでいた。
でも、何もわからないまま行くわけにはいかない。
もしかすると、この問題も解決しないと脱出できないかもしれないから!
私も怖いのは一緒だ。
でも、勇気を振り絞って、鏡の前に立った。
「元の場所って、どこですか…?」
「戻シテ…戻シテ…戻シテ…」
やっぱり、女はその言葉しか言わない。
まず、私の声が届いていないのかもしれない。
でも、元の場所っていうのがわからないと、戻すことなんてできない。
「戻シテ…」
「香織!行こうってばぁ!!もうやだよぉ!」
「じゃあ、恵だけ戻る?嫌でしょ?だから、待っていて!」
「うぅ…。」
恵は悲鳴を噛み締めたような声を出した。
でも、それからずっと叫ぶのをこらえているように小刻みに震えていた。
私は鏡の女から元の場所というのを聞き出そうと頑張った。
でも、言うのはやっぱり、「戻シテ…」だけだった。
もう、わからないよ…。
どこなの…?
私はずっと心の中で呟いていた。
すると…
「図書室…」
鏡の女は、確かにそう答えた。
かすかだったので、聞き取りにくかったけど、私にはそう言っているように感じた。
「図書室?図書室ですか…?」
「戻シテ…」
私が聞いたときにはもう、何も答えてくれなかった。
でも、私は図書室と聞いた。
でも、図書室とは言っても、図書室のどこかがわからない。
図書室に鏡を置けるような場所なんてなかったはずだ。
もしかして、本棚の裏とか…?
だったらまた探さなければならない。
まあ、とりあえず、図書室に行かないと何も始まらない。

