「ゆ、悠祐くん、お、お願いだから離れないでね…。」

「ちっ。わかったよ。」

最初に玲ちゃんと悠祐の会話から始まった。

二人はまず、1学年の教室をどんどん進んで行き、私達がさっきいた音楽室まで行って、2階に上がっていった。

「悠祐くん、は、速いよぉ…。」

「時間がないだろ。」

悠祐はぶっきらぼうに言っていた。


そして、2階に着き、右に曲がると、図書館があった。

そのときだった。


「ア゛ア゛ア゛ア゛!!」

いきなり不気味な声が聞こえ、玲ちゃんの悲鳴が木霊した。

すると、映像がどこを映しているかわからなくなった。

「いやぁああああ!!ゆ、悠祐くん!どこ、どこぉ?!」

ただ玲ちゃんの声しか聞こえない。

「やだ、やだ…。怖いよぉ…。」

そう言いながら、玲ちゃんは図書室の中に入った。


さっき何か変な声が聞こえたところなのに、玲ちゃんは勇気を出して、そこに戻ったのだ。

そして、図書室の隅っこに踞り、1日が終わっていた。


私はビデオを止め、電源を消した。

「じゃあ、あれから悠祐を見ていないの?」
「うん…。探しに行く勇気もなくて…。みんなの声が聞こえたから怖かったけど、図書室を出てきたの。」

「そっか、怖い思いさせたね。私が悪いや。でも、大丈夫。絶対みんなで帰ろうね。」

私は玲ちゃんを勇気付けるために、明るく言った。

「うん…。」

その途端、玲ちゃんは泣き出した。

私は玲ちゃんを抱き締めて、背中を撫でてあげた。