ベートーベンや、バッハの自画像が、こちらを見ている気がした。


「か、香織~、ここはもうやめよう…?」

恵がそう言ったときだった。


ポロン…


「きゃあ?!誰が鳴らしたのよ!怖いじゃない!」

「俺はやってない!」
「俺もだ!」
「私も。」

恵の言葉にみんなは答えた。

「じ、じゃあ、い、今のは…?」

「幽霊じゃない?」

「いやあああ!」

「恵ぃ!こんなことで驚いていたら、後が持たないよ…?」

「何でみんなは怖くないのよ?!」

「俺はもう慣れたし。」
優は慣れたらしい。
この短時間で。

「俺と香織は昔から怖いのは好きだったし。」

「だからって…。もう、やだぁ!」

恵はもう少しでおかしくなりそうだ。


ポロン…


すると、また鳴った。

「きゃあ!!」

私はピアノを見てみた。
ピアノの上に、楽譜が置かれている。

それと、何かの鍵。


教室などの鍵では無さそうだ。

「なんだろこれ…?」

私はそれを取ってみた。

「香織ちゃん、その鍵、これのじゃね?」


優が指差したのは、洋風な柄の箱だった。

「試しにさしてみろよ!」

蒼に言われ、私は鍵を差し込んだ。

すると、ピッタリだった。
そのまま回すと、カチッと音が鳴った。

恐る恐る箱を開けてみた。

すると。

♪♪~♪~

曲が流れ出した。

オルゴールだったらしい。