そのとき。
「おい。窓開けっ放しじゃないか!」
蒼だ…。
「あ…おい…。死にたい…。」
「香織?!記憶が戻ったのか?!」
「ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…」
私は蒼にずっといい続けていた。
枯れていた涙が、また流れ出した。
「大丈夫だよ。みんな、香織のこと、大好きだったから、恨んだりなんてしてないよ。」
蒼は優しい声で言った。
私は蒼の服に顔を埋めた。
「助けて…私…、もう、無理…。辛い…。」
「大丈夫、大丈夫。恵もいるじゃないか。生きている人もいるじゃん。俺だって。」
「でも…、でも…!」
「落ち着けって。大丈夫だから。」
すると、蒼は私を包み込むように、私を抱き締めた。
その途端、安心が私を包んだ。
冷たくて、壊れかけていた心が、もとに戻っていく気がした。
「うわあああああん!!」
私は声をあげて泣いた。
蒼はずっと、私の背中をさすってくれていた。
たぶん、私は10分以上泣き続けたと思う。
もう、学校に行かなきゃいけない時間だった。
「香織~?学校に行ける~?」
お母さんの声が聞こえた。
「じゃあ、俺、部屋に戻るわ。さすがにここにいるのバレたらヤバイし。」
そう言って、蒼は窓から出ようとした。
そのとき、私はとっさに蒼の服をつかんでしまった。
「どうしたんだ?」
「…き。」
「え?」
「好…き…。」
言えた。
やっと言えた。
蒼に一番伝えたかった言葉。
私の言葉に、蒼は驚いていた。
「マジかよ…。先越された…。」
今度は私が驚く番だった。
それって、つまり…。
「俺も、香織好きだ。」
蒼はそう言った。
そして、照れたのか、自分の部屋に戻ってしまった。
私もあとから顔が赤くなっていった。
それから10分後、私は学校に行くために、家を出た。

