その途端、不穏な空気はさらに強くなり、呼吸が苦しくなる。


でも、私は頑張って中を見た。


すると、中にある頭蓋骨に8桁のアルファベットが書かれていた。


私はすぐに伝えた。


「アルファベットがある!あの暗号に入力して!アルファベットは、RETORIJA!」


「わかった!」


そう言って、蒼が入力していた。


すると、

「アハハハハハ!アハハハハハ!」

笑い声だ。

私は中を見た。


そこには笑顔で私を見ている、痣だらけの『少女』がいた。


そして、『少女』は私の足を掴み、引きずりこもうとした。


でも、すぐに恵が私の腕を掴んでくれたおかげで助かった。


でも、『少女』の力はすごかった。


「アハハハハハ!アハハハハハ!」


ずっと笑っている。


「出来たぞ!」

蒼がそう言った瞬間、天井からはしごが降りてきた。


「恵!行け!」

「待って!香織が!」

私は半分、穴の中に引きずり込まれていた。


すると、蒼が走ってきて、私の手を掴んだ。


「恵は先に行ってろ!」


恵は少し戸惑いながらも、はしごを登っていった。


私は蒼に引っ張られているのに、まだ引きずり込まれていた。


「く…そ…!」


このままじゃ、二人とも落ちてしまう。


「蒼…。行って…。」

「はあ?!行かない!香織を助けるまでは。」

「お願い。行って!」

「嫌だって言ってるだろ!」

「お願い!行ってよ!私、これ以上責任を背負えないよ!蒼が死んじゃったら、蒼の両親がかわいそうだよ!」

「だったら、香織だって一緒だろ!」

「お願い!行って!」


蒼は中々行こうとしない。


私はどんどん引きずり込まれていく。

「アハハハハハアハハハハハ」


笑い声が木霊している。


もう、ダメだ。


私は蒼の手を無理矢理はがした。


「香織?!」

「バイバイ…」


私は笑顔で言った。


さようなら、蒼。

私、最期まで言えなかった。


蒼に。


悔しいな…。


でも、蒼が生きていたら、それだけで充分だ…。


私はそう思いながら落ちていった。