いや…。
違う…。
まだ1つだけ、暗号がある。
最初に来た、メール…。
『ここから出たいのなら、少女を逃がせ。』
あのメールの意味がまだわかってない。
『少女』って、一体誰…?
「香織!どうやって出ればいいのよ!」
恵はもう、正気を失っている。
出られないという絶望を味わったからだろう。
でも、出られないことはない。
絶対に。
そのときだった。
「アハハハハハ!」
私が気絶してしまった穴から笑い声が聞こえた。
あの頭蓋骨の山から。
誰…?
「殺す」
笑い声のあと、冷めきった声でそう言ったのが聞こえた。
「だ、誰だ!」
蒼が叫ぶが、何の返事もない。
恵はさっきの笑い声で、正気を取り戻していた。
あれが…
『少女』…?
私はそう思った。
あの子を逃がせば…。
そのとき。
日記を三枚見つけた。
9月1日
久しぶりに図書室に来た。でも、図書室は開いていなかった。
鈴の音が聞こえた気がした。
9月10日
私は、学校の秘密を知ってしまった。司書の先生に口止めされた。言ったら殺されるかもしれない。
9月23日
図書室の噂が広まると、すぐに先生に殴られる。
私が流した噂じゃないのに。体は痣だらけだ。
痣…?
痣って言ったら、悠祐の身体に現れていた。
もしかして、この人が…?
違うよね。
それに、秘密って…。
この地下室のことかな…?
でも、何もとくにないし、口止めするほどでもないはず。
この日記は、たくさんの謎を残した。
でも、『少女』のことは全くわからなかった。

