せやけど、事件は起こった。
敵対するチーム“武龍”にうちの後釜の南が集団で襲われて、南は全治半年の大怪我を追った。
それだけやない。
“陰飛羽”に“兵藤佳蓮は華櫻の番長カレンである”ということを、匿名で暴露
した。
更にはあることないことでっち上げて、それを陰飛羽の理事長に送ったんや。
……まぁ、武龍は華櫻の因縁の相手。
恨まれてるいたから避けようがない事件だっただろうけど。
『兵藤佳蓮を、半年の停学処分とする』
それが陰飛羽の決断だった。
そうしてやってきた半年後。
先日、南の怪我も完治し、うちは華櫻のトップを今度こそ南に譲り、引退した。
そしてようやく、聖カナン女学院に通うことを許されたのだ。
きっと、前代未聞なんやろうな。
オジョーサマが不良で、更にそのトップだったなんてな。
『佳蓮ちゃん、いいんだよ。兵藤の心配はしないで、好きなようにしなさい。』
お父さんは、喧嘩して帰って来るうちを見ても叱らなかった。
小さい頃に母親を無くしたからか、つらい思いはさせないと言わんばかりにうちに甘かった。
『佳蓮ちゃんの人生なんだから、兵藤に縛られる必要はない』
そう言って、小6の荒れていた真っ最中、陰飛羽の中学校への入学許可証を破いてくれた。
財閥の一人娘。家に縛られるのが当たり前なのに、うちの意思を尊重してくれたお父さん。
いつの間にか、そんなお父さんの力になりたいと思うようになっていて。
華櫻と離れるのは辛かったけど、これがうちの“選んだ道”や。
「では今、軽くですけど説明致しますわ」という会長さんに、うちは「ご教授よろしくお願いします」と頭を下げた。


