向こう側に。




慣れない手つきで仕事をこなしながら、お昼ごろまで過ごしていた。




年が近いのもあり、会計や注文がないときは藍岡さんが話しかけてくれていた。







「波純さんは大学生?午前中はバイトで午後から講義とか?」




「いえ、学生ではなくてフリーターです。」





そう、私は浪人生ではない。



社会人だけど、それほど立派な言葉は似合わない。







「あぁ...そっか、そうなんだ。」





少しだけ、眼の色が変わった気がした。



物理的な事じゃなく、私を見る目...印象として。







やっぱり、か。



と言うのが正直なところ。







もう私は学生じゃなくて、カテゴリー上はそういう事なんだろうとわかっていた。




今の自分に引け目は感じていないし、決断は間違ってなかったって今なら思えている。






だけどそれは胸を張れる事でもないし、気にしない事にしていたけれど。








やっぱり他人は違うわけで。



此処で何を言っても鋭い目を避ける為の、現状の言い訳になるようで下を向いた。