向こう側に。



ずれちゃったけれど、千堂にはお礼しなきゃなって思っていて。

いつ会うかもわからない相手に 伝言を頼まれて、さらには素っ気ない態度まで取ってしまった。

本当に悪い事してしまったな…。


「伝えたら喜ぶよー?
千堂さ、毎回毎回 誰かに再開する度に凄い喜んでるんだよー!」

「千堂、社交的だし人懐っこいもんね。
友達大事って感じでね!」


愛海と2人、楽しく話をしながら信号が青になるのを待つ。
ふと、愛海が言う。


「千堂、呼んじゃう?暇してそうだしー。」

アハハハといった感じに、何でも無いような事みたいに笑い飛ばす。


「え、呼ぶの?
暇してそうって、予定くらいあるでしょうよ」

「呼んじゃお、呼んじゃお!
暇してれば、来てもらえばいいし」


さっそく自分の携帯を、慣れた手付きで操
作し始める。


「信号。青になっちゃったから、中でやるか。」

そう言って、歩き始める。

勢いで物事を決める癖は変わってないのね…。



________。


カフェで席についてから、千堂を呼ぶ為に携帯を操作している愛海。

10分くらい、ずっとこの調子だ。


「オッケーだって!
近くに居るみたいで、今から向かうって」

「え、大丈夫だったの?」


近くに居るって、用事で外出てるんじゃないの?

ちゃんと確認したのかな。



「やっぱ、暇してたみたいよー」

ニコッと『予想的中』なんて悪戯っ子の様に笑って見せる愛海。

それから、他愛も無い話をして過ごしていた。




「よぉ。久し振りだなー!」

15分位経った頃。千堂が陽気に登場してきたのだった。


「おー!来たかー!久し振りだなー」

「久し振りですなー」


愛海が同じ調子で返していたので、私も乗っておく。

普段はこんなにフレンドリー何かじゃないんけどね。