向こう側に。




こういう時って、何の話をしたらいいのかな?

好きな物の話?なんか質問?何処に向かうとか?

……全く思い付かない。

ずっと喋らず、何処に向かっているのかもわからずに、ただ愛海が歩く方向に足を進める。



「あの信号渡った所にあるカフェ。そこに入ろう!」

一言も話す気配のない私に、痺れを切らした愛海が言う。

嫌かな?と、問いかけに"全然いいよ。"とだけ返す。


折角話してくれたのに。話が続けられない。
普段こんなに静かにしてないよ。


「そうだった。
今度ね、千堂が"またその内会おうな"って咲に。」

また、愛海が話を振ってくれる。


「そうだね、千堂にもお礼しなきゃいけないし。
連絡取れないから、その時は愛海に頼んでいい?」

「もちろん!
楽しそうだから私も混ざる!」


ふふふ、っと楽しそうに笑う愛海は喜んでいた。


私も凄く嬉しい。

用が無いと 愛海とはあまり会えないし、予定とかなかなか合わないけど。


それでも、また仲良く出来ているのが嬉しい。
何よりも愛海が、一緒にいて喜んでくれたり、楽しそうにしてくれる。

友達って思ってくれてるって。