ジャージで宮村家に向かう。 母子家庭と言えど医者の雅子さんの稼ぎは多く、宮村はちょっとリッチなマンション暮らしだ。 「うわっ」 一階でエレベーターを待っていた。 そしたら、そのエレベーターから降りてきたのは、私が会いに来た宮村ご本人だった。 宮村も驚いた様子で、どうしたの、と口をパクパクしている。 「あんたが充電器忘れてたから持って来た」 ポケットから取り出して渡すと、宮村は笑って、ありがとう、と口を動かした。