「まさとくん!なんで?さっきは優しくしてたのに」





「住むとなったら話は別だ。俺は認めない」





「でも、この子さっき火事で焼けちゃった家の子なんだ。帰る場所ないんだよ」





「ほんとにそうか?こいつはスーツケース持ってるし、一人でいるってことは今日からあのアパートで一人暮らしでも始めるつもりだったんだろ?じゃあ昨日まで住んでた家に戻ればいい。帰る場所があるならここに住む理由はない。」





二人の会話を聞いていた私は、胸が痛くなった。





つらそうな表情をするつばさくん。





帰る場所はないけど、歓迎されてないなら困らせるだけだし、他を探そう。






「あの、すいませんでした。いきなり来て、住まわせてもらおうだなんておかしな話ですよね。まさとくんの言ってる通りです。私は前の家に戻ります」





つばさくんに心配されないために、帰る場所がないことは言わないでおこう。





「じゃあ、私はこれで...」





スーツケースを持ち、リビングから出て玄関で靴をはく。





すると、ずっと黙って話を聞いていた、クールそうな男の子が聞いてきた。





「...なあ、名前聞いてもいいか?」





「あ、はい。立川菜結です」






「そうか...ありがとう」





「では、失礼します」





私は礼をして外へ出た。





さてと、とりあえずさっきの公園に行こうかな。