「ま、まさか。桃谷くんのことも知ってるの!?」
「うん…」
茉友ちゃんは、はぁとため息をついた。
「菜結ちゃん、恵まれてるんだね」
茉友ちゃんの言葉に、私は苦笑いしかできなかった。
「桃谷くんは女たらしなとこが残念だけど、普通にかっこいいしモテるんだよ?」
「モテるのかぁ」
なんかもう、わけがわかんなくなってきた。
ただでさえ混乱していた私に、さらに追い打ちがかけられた。
「あ!菜結ちゃん、最後の1人が来たよ!」
茉友ちゃんが廊下の向こうから歩いてくる1人の男の子を指さした。
「あの人がE組の人で、クールでかっこいい!って評判の人。この四人が、うちの学年で人気の男子達だよ!」
私は呆然とした。
こんなことって、あるんだろうか。
その人はどんどん私達に接近してきて、E組の教室の手前で立ち止まった。
「ん?菜結、なにやってんだ?隼也に何か用か?」
私は驚きで言葉が出なかった。
まさか、まさか…
「おい隼也!菜結が用事があるんだとさ」
「あれ?春樹じゃん!なに?菜結ちゃんもいるの?」
隼也くんは女の子達の中から抜けて廊下に出てきた。
「どうかした?」
隼也くんに声をかけられて、私はハッとした。
「あ、春樹ありがと。隼也くんも、さっきはありがとう」
「どういたしまして。ていうか、なんで春樹だけ呼び捨てなの?」
隼也くんに痛いところを突かれてしまった。
「私が呼び捨てでもいいか聞いたらオッケーしてくれたから…」
それを聞いた隼也くんはニヤッと笑うと口を開いた。
「じゃあさ、さっきのお礼として、俺のことも呼び捨てしてよ!」
「え!?」
お礼って…確かにさっきは助かったけど、そんなのでいいのかな?
「ほんとにそれでいいの?」
「うん♪俺も菜結ちゃんに呼び捨てされたいな」
ニコッと笑う隼也くん。
「じゃあ…これからは隼也って呼ぶね」

