〜菜結side〜
「ふぅ。これからどうしようかな...」
さっきの公園のベンチに座り、ぼーっと考える。
いっそこの公園に泊まろうかな、なんて考え始めてしまって、もうどうでもよくなってきた。
そのうちだんだんと眠気がやってきて、ベンチに横になろうとしたその時。
「...おいっばか!そんなとこで寝るな!」
怒鳴りながら走り寄ってくる一人の男の子。
目をこすってようく見ると、それはまさとくんだった。
「えっ!なんで!?あ、何か忘れ物しちゃったとか...?」
「ちげぇーよ。お前を連れ戻しに来たんだ」
ん??連れ戻す??
「い、いいんですか?さっきあんなに嫌がってたのに」
「お前、なんでホントの事言わなかったんだよ。帰るとこがないならそう言えよ!」
え、なんでまさとくん知ってるんだろ。
「...新聞の記事読んだ。両親、事故で亡くなったんだろ?それでアパートに来たって事は親戚とかに受け入れてもらえなかったのか?」
さっきまでと違う、少し優しい口調に、私は胸が苦しくなった。
「受け入れてもらえなかったっていうか、お世話になれるような親戚がいないんだよね。一度しか会ったことないような親戚しかいなくて...迷惑かけられないからさ」
油断をすると、涙が出てしまいそうで、私はわざと笑って言った。
「...悪かったな。事情も聞かないで怒って追い出して。だから、その代わりと言っちゃなんだけど、うちに来いよ」
受け入れて、くれるんだ。
「うんっ!」
心が、あったかくなった。