「なーに、にやけてんの?」

「え、っとね、いつも悪いなーと思ってたんだよ?」

「嘘だあ。その割ににやけてたもん」

里奈は言う。

に、にやけてたなんて

「ごめんー!」

謝っておいた。

「ま、いいけど?今日も好きな人と帰れるなんて、奈緒は幸せもんだね」

そう言ってふわっとわらう里奈の笑顔に癒された。

「いつも分けてあげてるじゃん。あたしの幸せ。」

「そーだね、ありがとー」

そんな、朝からハッピーな話をしてた。


そして今、放課後。

待ってるのに。来ない。

奏多が来ない。

確か待ち合わせは5時半に校門前、でしょ?

今6時9分だよ

奏多いつも遅れるときメールしてくれんじゃん、なのに、なんで?

忘れられてた?

そう思うと暖かかった風も冷たく感じた。

帰ったら奏多に電話しよ

そう思って早く帰った。