ふわふわりと風船


 楓が来た時、困らせてやりたかった。

 綺麗な表情を歪めてやりたかった。

 それなのに。

 僕が死にそうでも、楓は表情ひとつかえない。

 「健斗」

 甘い呟き。

 ここにいていいと唯一僕を肯定する声が小さく零れた。