Cry for the moon

リュウトが片付けをしている間、彼女は店の隅の椅子に腰掛けて待っていた。

何を話すでもなく、リュウトは黙々と片付け、彼女はヘアカタログの雑誌をめくる。

(ダメだ…さっき、もうやめようって思ったそばから…オレって意志がよえぇ…。)

だけど、寂しげに立ち去ろうとする彼女を、どうしても一人で帰す事ができなかった。

優しい彼氏がいるはずなのに、どうして自分に会いに来たのだろう?

偶然通りかかっただけなら、あのまま別れても良かったはずなのに…。

(考え過ぎか…。用もないのにオレなんかに会いに来るはずがない…。)

頭の中で、いろんな思いがぐるぐると巡る。