髪をタオルで包んでカット台に案内して鏡を見ると、その女性客は鏡越しにリュウトの事をじっと見ている。

(ん…?なんだ?)

「あの…何か?」

「あっ、ごめんなさい。もしかして…宮原くん?」

見覚えのないその女性に、普段呼ばれ慣れない『宮原くん』と言う呼び方をされ、リュウトは驚いた。

(えーっと…誰だっけ?)

困ったように顔をしかめているリュウトを見て、女性客は微笑んだ。

「わからないよね…。最後に会ったの、小学校の卒業式の日だから…。私、4年から6年まで同じクラスで…放課後よく一緒に遊んだの。上田くんとか松本くんとかユキちゃんとか…。」