Cry for the moon

お互いの事は、深くは聞かないし、多くは語らない。

それがやけに、リュウトにとっては心地いい。

会っていなかった頃の事を知らなくても、今、目の前にいる彼女に惹かれている。

それが他の男の彼女であっても、その気持ちに嘘はつけなくなっていた。

その想いは抑えつけようとする気持ちと反比例して、どんどん大きくなって行く。

ただ、ほんの少し一緒にいられるだけで、その時は彼氏ではなく、その瞳に自分を映してくれていると思うだけで、リュウトは幸せだった。

(今だけでいい…。オレの事だけを見ていてくれたら…。)