しばらくした風が冷たい日。
下駄箱で珀疾さんと手を繋ぎ、帰ろうとしている時。
「コラ‼︎瀧澤〜‼︎お前また進路指導逃げんのかぁ〜‼︎」
「げっ‼︎野生ゴリラじゃん‼︎」
「野生ゴリラとはなんだ‼︎今すぐ、教室戻れ‼︎」
「はぁ⁉︎無理‼︎彼女送ってく…」
「女より勉強せぇ‼︎勉強‼︎」
厳しくて有名な加藤先生(通称:野生ゴリラ)に強制連行……。
また帰り道、一人かぁ〜。
悪夢が襲ったのは、トボトボ駅までの道を歩いてる時だった。
「……んっ‼︎やっ、何⁉︎…きゃあっ…」
抵抗も虚しく、誰かに後ろから押さえ付けられた。
そして、口に当てられた布。
「珀疾、さん……」
騒がしい男性の声で、目が覚めた。
ここはどこ…?
あたしは何してるの?
動きたいのに、背中で腕が縛られてて動けない…っ。
「やっと起きたか〜。そんなに寝てぇなら、ホテルでも行く?」
「へっ……あっ、あなたは……」
「忘れてるワケねぇよな。俺をフった罪は重いぜ」
体が震えて声が出ない。