困らせてるはずなのに、瀧澤先輩はお腹を抱えてクツクツ笑う。
「お前、気に入った。度胸はあるな。明日の放課後、2年1組来い」
「やった‼︎ありがとうございます‼︎」
勢いで頭を下げると、また瀧澤先輩の手が髪に触れる。
きゅん………。
「じゃ、そろそろ帰るか」
「はっ‼︎もう5時⁉︎今日は本当にありがとうございました‼︎」
「あー待って。お前、何通学?」
「電車通学です、けど…」
「そっか。なんなら駅まで送ってく」
今日出会ったばかりの先輩に、送らせるのはダメでしょ‼︎
ほ、ほんとは……もう少しだけ一緒に〜とか思うけど……。
「大丈夫です‼︎1人で帰れますからっ」
「俺、暗いとこ女の子1人で歩かせる趣味じゃねぇんだけど」
「あたしは趣味です‼︎さ、さようなら〜‼︎」
走って、走って、走って階段を降りた。
まだ履き慣れない固いローファーで駅まで走り、駆け込み乗車。
瀧澤…珀疾先輩。
優し過ぎない?
見た目に比例するカッコ良さ……。
「…ちょっと気になるかも…」
金髪の優しい先輩。
考えただけで胸がいっぱいになる。