優しい先輩はとんでもない不良でした




『俺、大切なヤツいるんで』


何回も頭の中でリピートされる。


頬が熱くて心臓がうるさいっ……。


あたしの事だって思っても良い…?



「あ。杏菜じゃん」

「はっ、珀疾さん‼︎す、すいません‼︎えっと、これは…そのっ…」

「ははっ、焦り過ぎ。つーか……」

「へっ?」

「似合ってんな。浴衣」


フッと笑った珀疾さんに、胸がきゅんと苦しくなる。


嬉しいかも〜‼︎


「似合い過ぎてて脱がしたくなるわ」

「それ褒め言葉ですか⁉︎変態‼︎」

「嘘だよ。でも半分本気」


ドキドキして損したっ‼︎


ふいっと背中を向けると、後ろからお腹に腕が回った。


背中に体温を感じる……。


「拗ねんなよ。チョコ一つ持って何しに来たんですか、姫」

「っ‼︎…みんなに…珀疾さんに会いに行く口実作りたくて…」

「口実?」

「…チョコ売って来るから…って抜け出したの」


後ろから抱きしめられたまま、クスクス笑い声が聞こえた。


だって、本当に会いたかったんだもん‼︎