バーの裏口へ出て、本能的に押した杏菜の名前。
なんだかんだ…好きなんだ。
『…もしもし珀疾さん⁉︎』
「ん。俺だよ」
『大丈夫ですか⁉︎生きてます⁉︎3日も電話に出てくれないから……』
「ははっ、わりぃ。忙しくて電源切ってたわ」
『すっごい心配したんですけど‼︎』
怒りに近い杏菜の声。
申し訳ない事したな…。
「じゃあさ。他の男より、俺に会ってくれね?」
『あたしは、いつでも会いたいよ…』
「言ったな?明日、学校まで迎えに行くから」
勝手に取り付けた約束。
表情は見えないけど、杏菜の声は弾んでた。
やや寝不足気味の次の日。
大学も休みだし、車で高校まで来た。
つい1年前まで俺も通ってた母校。
「珀疾さん‼︎会いたかったですっ‼︎」
「やけに素直じゃん。浮気でもした?」
「まさか‼︎あの時一緒にいた晴君も、ただの友達だし…大丈夫」
「俺が大丈夫じゃねーんだよ。アホ杏菜」
「ア、アホ⁉︎」
そのコロコロ変わる表情。
そんなお前が、すげー好きだったり。

