優しい先輩はとんでもない不良でした




ガヤガヤと人混みが増す夜の繁華街。


はぐれない様に晴君の背中を着いて行く。


「杏菜ちゃん着いて来てる?」

「なんとか‼︎」

「ははっ‼︎そっか。手繋いじゃう⁉︎」

「彼氏への裏切り行為はしませーん‼︎……って、え……」


人混みの中でもすぐに分かった。


背の高い、薄い茶髪の彼。


あたしの大好きな人。



「珀疾さん‼︎」

「…杏菜‼︎つーか…誰、ソイツ」


優しい笑顔が一瞬で曇った訳。


あたしの隣にいる晴君に、鋭い視線は向けられた。


「と、友達だよ‼︎」

「杏菜に聞いてねぇから」

「俺、佐山晴って言います。時間も遅いので駅まで送ろうと思って…」

「へぇー。遊んでたの?」

「はい。俺が強引に、ですケド」


彼女のあたしでも怖い珀疾さんが纏う空気。


それに物怖じしない晴君何者⁉︎



珀疾さん…絶対に怒ってるよ‼︎



「そっか。友達か。杏菜と仲良くしてやってな」

「えっ⁉︎あ、はい‼︎」


普段通りの笑顔で、人混みに消えた珀疾さん。


妬かないし怒らない⁉︎


逆に怖いけど、友達だから大丈夫だよね⁉︎