頬や鼻を赤くして、校門の壁に寄り掛かってるヤツ。
杏菜だ……。
俺に気付いたのか、嬉しそうな笑顔で駆け寄って来た。
「瀧澤先輩…じゃなくて、珀疾さん‼︎」
「杏菜…お前、待ってたの?」
「えへへ…。もしかしたら、珀疾さん通るかもって…」
なんだよ、それ……。
すげぇ嬉しいじゃん…。
春風で冷たくなってる杏菜の手を握ると、小さな指がきゅっと握り返した。
「珀疾さん…」
「なに?」
「あたし……珀疾さんの…」
「おう」
「珀疾さんの…か、彼女になりたいですっ‼︎」
安心したのと同時に、愛しさが込み上げてくる。
あぁ………本気で好きって、こうゆう事なんだな。
「ダ、ダメですかね…」
「ダメなわけねぇから…。むしろ、すっげー嬉しい」
「良かった‼︎ありがとうございます‼︎」
「俺が守ってやるから。ちゃんと着いて来いよ?」
大きく頷いた杏菜は、眩しいほどの笑顔。
今日、俺は最高に可愛い彼女が出来た。
ずっと一緒にいたい…心からそう思えた。