優しい先輩はとんでもない不良でした




ぐしゃっと手の中で潰す空箱。


「珀疾、タバコの減り早過ぎね?」

「仕方ねぇじゃん」

「はぁー……。杏菜に会えないストレスか…」

「ちげーよ。そんぐらいで、本数増えねぇから」


多分、そうだって。


幼なじみの感の鋭さが恐ろしいっす…。



確かに、俺はモテる。


でも、本気で好きんなったヤツの振り向かせ方が分かんねぇ……。


「好き」って言われてばっかだし。



「…なぁ、珀疾。絵梨さんと杏菜は違うからな」

「んだよ、いきなり…」

「何気に過去引きずってんだろ」

「引きずってねぇよ。忘れた」

「それなら良いけど……」


もう俺は立ち直った。


前しか向いてねぇよ。


だから、杏菜には側にいてほしい。


「んー…疲れたから帰るわ。和泉は?」

「妹にパシリで頼まれてるモンあるから先帰ってて」

「お、おう…」


月岡家は女権力が強いんだっけ…。


和泉の母さんは典型的な〝かかあ天下〟。


是非とも俺は〝亭主関白〟希望だ。



「寒っ…」


少し肌寒い外に出て、俺はびっくりした。