【珀疾side】
俺が1人で校内を歩いてると、厄介なヤツが着いて来る。
後輩なのに心底うざい川口君。
「だーかーら、谷口です‼︎」
「あー、はいはい。分かったっつーの。森口君」
「もうワザとですよね⁉︎瀧澤先輩‼︎」
「後ろ着いて来んな、うぜぇ……」
だからって横に並ぶのも嫌…。
めんどくせぇから、ほっとく。
それに、マジでコイツ厄介者だ。
今から1週間ぐらい前。
美術室にいた和泉がタバコを吸いながら、急に言い出した。
『珀疾‼︎俺、思い出した‼︎』
『何を⁉︎』
『谷口悠吾ってヤツ‼︎有名だったよな⁉︎』
『わりぃ…。全く覚えてねぇや』
『風貌も変わっちまったからな。アイツ、西の狼だ』
『西の狼…?』
俺らが中学の時、ざっくり東西南北に派閥があった。
俺と和泉も中1の一時期、南に属してたけど。
縛られんのヤで、すぐ脱退。
各東西南北の頭には、何かしら通り名が与えられる。
それが『西の狼』。
名前を谷口悠吾。
ケンカ負けナシで有名だったのに、いつの間にか風の様に消えた。

