【杏菜side】
葉が紅く染まり、肌寒い日が続く秋。
教室の窓から見える景色にしみじみと感じる。
気付けば、珀疾さんと付き合って1年半。
長い様な、短い様な………。
刻んできた思い出はどれも大切で、掛け替えのないのモノ。
益々、好きになるの。
「おーいっ、杏菜‼︎何ボケっとしてんの?」
「夏実‼︎……ううん。なんでもないよ‼︎」
「教えろよ〜‼︎気になるじゃん‼︎もしや、瀧澤先輩絡み⁉︎」
「ち、ちっ、違うしー‼︎」
「きゃははは‼︎杏菜分かりやすっ‼︎」
金髪の巻き髪を揺らす夏実に、超冷やかされました…。
そんな中、1つ心に引っかかる事。
「杏菜ちゃん」
「悠吾君‼︎どうしたのー?」
「ん〜…特に用事はないんだ。でも、会いたくて来ちゃった」
「冗談やめてよ〜」
「俺、本気だよ」
鈍感なあたしでも分かるかも…。
最近、悠吾君が友達の枠から出てる気がする。
少し話して、すぐに別れるんだけどね。