優しい先輩はとんでもない不良でした




つられて俺も足を止めて前を向くと………。


一気に胸の奥が締め付けられた気がした。


「こんな時に限って…ずっと、お前のこと待ってたんだな」

「バカじゃねぇの…」

「ん。美術室の合鍵貸してやるから。少し話し合えよ〜」

「ちょっ、和泉……」


俺に鍵を投げ渡した。



ずっと俺のこと待ってたのか?


美術室のドアの前で、小さく座る杏菜の姿。


なんでいるんだよ………。



「…あっ、珀疾さん…」

「お前、授業は?」

「会いたくて……朝からずっとここにいたの。でも、珀疾さん来ないから…」

「来るまで待とうって?」


小さく頷き、頬に一筋の涙を流す。


また泣かせた……。


「泣くなって…。怒ってねぇから」

「わがまま言ってごめんなさい…っ‼︎あたしっ…が、我慢するから…っ」

「…ごめん。俺も大人気無く言い過ぎた」

「ふぇっ…うっ、珀疾さん…っ」

「分かったから…。うん、ごめんな…」


小さな背中に腕を回して抱き寄せた。


杏菜の匂い、体温、表情………


やっぱり、お前には俺の近くにいてほしい。