ニコニコと柔らかい笑顔で、そっとあたしの手を取った。
王子様みたいでドキッとする……。
「今から俺と中庭デートしません?」
「デ、デート⁉︎」
「あははっ‼︎固くならないで下さいよ〜。ただの散歩っス」
「そ、そうだよね〜……」
珀疾さんと別れたんだよ?
別に身構える程じゃないのに。
少しサボって隼疾君と中庭散歩。
やっぱ兄弟だから横顔とか似てる……。
胸がきゅーっと苦しい……。
「あの……杏菜さん」
「うん?どうしたの?」
「キスしたい。キスして良いっスか?」
「キス⁉︎ダメだよ…。付き合ってもないのに……」
「良いじゃん。キスしてよ」
壁に追い詰められ、顎をクイッと上に上げられる。
どうしよう………。
流れに任せちゃう…?
ぎゅっと目を瞑ると、大好きな人の声が中庭に響いた。
「人の女に手ぇ出してんじゃねーよ‼︎バカ‼︎」
「珀疾さん…⁉︎」
「杏菜に手ぇ出して良いの俺だけ。勝手に何してんだよ」
「だったらハッキリしろっての‼︎バカ兄貴‼︎」
嘘………。
まさか、ケンカ⁉︎

