冷たい風が通り抜ける駅のホームで1時間近く話した。


雨は止む気配ナシ。


「珀疾。この傘使って良いよ?」

「いらねぇよ。絵梨さんどーすんの?」

「これから、彼が迎えに来るから。あたしは大丈夫。ねっ?使って?」

「…いいや。女物はヤダ」

「そうゆうとこ、昔っから変わんないね‼︎安心しちゃった」


優しい笑顔が大好きだった。


でも、俺はこの笑顔に裏切られたも同然。


なのに、いつまでも思い出に縋ってるのってバカだよな……。



「ごめん珀疾‼︎行くね‼︎」

「おう。気を付けてな」

「ふふっ、ありがとう‼︎」

「……ねぇ、絵梨さん」

「なぁに?」


もう好きなヤツのこと泣かせたくない。


俺がちゃんと進むため。


「近いうち電話して良い?」

「えっ。良いわよっ」

「話したい事あるから」

「うん‼︎待ってるね」



ズルイ人だよな、ほんと。


なんでこんなヒドイ女の子好きになったんだろ。



まだ、杏菜の心に俺はいる?