優しい先輩はとんでもない不良でした




土砂降りの雨を美術室の窓から眺める。


なんでこんな日に限って学校来たんだよ……。


傘持って来てねぇし。


益々気分落ちるわ……。



コンコン––––––––


控えめなノック音。


すぐに誰か分かるのがまたツライ。


「……失礼します」

「杏菜…」

「そのっ、久しぶり…です」


俯いたままの顔で沈んだ表情。


俺がこんな風にさせたんだ……。


「今日は、珀疾さんにお話があって来ました」

「ん。…なに?」



ここまできたら予想はついてた。


なのに、けっこう心の奥底に言葉は突き刺さる。


「…あたしと別れて下さい…っ。珀疾さんの心がどこにあるのか分からない…」

「泣くなよ…。別れたくなくなる……」

「別れるって決めましたっ‼︎…うっ、ふっ……んっ…」

「杏菜。俺は………」


別れたくねぇよ。



言い切る前に、走って美術室を出てった。


ジメジメしたまとわりつく空気が、やたらうざったい。