【杏菜side】



梅雨時期に入り天気がグズグズの今日この頃。


でも、あたしと珀疾さんは順調‼︎


今日の昼休みも鼻歌交じりにスキップして、美術室のドアを開けた。


だけど………



「あれ…?」

「あ。杏菜か」

「和泉さん‼︎珀疾さんはどこですか⁉︎」

「なんも連絡来てねぇの?アイツなら熱でダウンしたけど……」

「熱ぅ〜⁉︎ありがとうございました‼︎失礼しますっ‼︎」


教室に戻り鞄を取って、急いで駅に向かった。


駅近くのコンビニに寄り、向かうは珀疾さんち‼︎



––––––––ピンポーン………


インタホーンを鳴らすと、ドアの向こうから聞こえる足音。


「…はい」

「珀疾さん‼︎杏菜です‼︎来ちゃいました」

「は⁉︎なんで杏菜⁉︎」


ドアが開くと、顔の赤い具合悪そうな珀疾さん。


看病してあげなきゃ‼︎



「看病させて下さい」

「移るから帰れ……」

「嫌です‼︎」

「…和泉に口止めさせれば良かった」


ツライなら助けてあげたいもん。


口止めされても困ります。