鍵を閉めるとビクッと肩が震えた。


真っ赤な顔で俺から目を逸らす。



「う、嘘だもん…」

「何が?」

「あたし……すっごく珀疾さんにベタ惚れだよ」

「…あっそ」


これが杏菜のズルイとこ。


んなこと言われたら許すに決まってんじゃん……。


「あたし珀疾さんのこと大好き‼︎」

「そうじゃなきゃ困る」

「だから妬かないでね?隼疾君と仲良くして下さい‼︎」

「それはヤダ‼︎あんな怪獣みたいなの無理……」

「珀疾さんが優しいから甘えてるんですよ」



あー……俺って心狭いのかも。


杏菜の口から『隼疾』って名前出るだけで、モヤモヤする。


「全部俺のにしたい…」

「あたしの全部は珀疾さんのだよ」

「可愛いこと言うな、バカ。…シてぇ」

「もうヤダ‼︎痛いもん‼︎」


逃げ回る杏菜を捕まえてキス。



お前の全部くれたなら、俺の全部あげるから。


他に目移りしないで俺の側にいろ。