優しい先輩はとんでもない不良でした




もうほんと最悪だ……。


何も悪い事してないのに、どうして?


視界が霞み、涙が零れそうになる。



「柊。俺が勝ったら、コイツもらう」

「はぁ⁉︎お前、俺に勝てると思ってんの?しかも2人で」


嘘でも嬉しい様な瀧澤先輩のセリフに、柊舜也は鼻で嘲笑う。


「だから俺が負けたら、女はお前の好きにしろ」

「へぇ〜…良い度胸じゃん。後輩のクセに」

「俺、お前のこと大嫌いだからな」

「その威勢いつまで続くか…。ふざけんじゃねぇぞ‼︎」



危ない…‼︎


なんて思い咄嗟に目を瞑った。


初めて至近距離で見る殴り合いの音、罵声、悲鳴………


全てが怖い……。



お願い……


瀧澤先輩に…そのお友達の先輩。


無事でいて下さい‼︎



誰かの腕が肩に回り、ビクッと肩が跳ねた。


そっと目を開けると、傷だらけの腫れた顔の柊舜也。


「…ひゃぁっ…‼︎」


あたしの悲鳴は鈍い音とともに消える。


「ったく、目当ての女連れ去って逃げんじゃねーよ…バカ」

「…っ、このっ…てめぇ……」


瀧澤先輩に再度殴られ、柊舜也は縺れる脚で屋上を逃げた。