言われるがまま、大きめバッグに荷造りをしてお泊り準備。


お父さんやお母さんには「友達とお泊り」って嘘ついた。


これで完璧‼︎



バレンタイン当日は金曜日。


珀疾さんちにお泊りは初めてじゃない。


でも、なんだか緊張して眠れなくてお菓子いっぱい作っちゃったもん‼︎


「おは〜杏菜。って、クマ出来てる‼︎」

「夏実おはよ〜。昨日、お菓子作ってたら…」

「トイレ行くぞ‼︎早く‼︎」

「えっ、ちょっ…夏実⁉︎」


大きなポーチを抱えた夏実と駆け込んだ女子トイレ。


目の下に肌色の何か塗られた……。


「アンタ今日、瀧澤先輩んとこ泊まるんでしょ〜?」

「うん。そうだよ」

「元が可愛いんだから、ちゃんとしなさいよバカ‼︎」

「ううっ〜……何塗ってるのー?」

「クマ隠し。あー‼︎動くなっ‼︎」


鏡を見てビックリ。


クマ消えた〜‼︎


得意気な夏実にお礼の気持ちで、友チョコを。


「ありがとー‼︎杏菜‼︎やっぱ最高〜♪」



最高なのは夏美の臨機応変さ。


感謝しなきゃ‼︎