優しい先輩はとんでもない不良でした




立ち止まるあたしを見付けた瞬間、ぎゅっと強く抱きしめられた。


ふわりと珀疾さんの香水の匂い……。


あぁ……やっと珀疾さんに会えたね…。


「バカじゃねぇの…。こんな夜に1人で何してんだよ」

「会いたくて来ちゃった……」

「すげー冷たくなってんじゃん。目腫れてるし…」


そっと、あたしの瞼に触れた指先。


触れてくれた手が愛しい……。


「つーか、その大荷物どした?」

「家出…」

「はぁ?家出して来た?」

「うん…。もう、嫌になって……」

「行くアテ決まってんの?」


そんな事考える暇なかったよ。


珀疾さんに会いたい事で、いっぱいいっぱい……。



いきなり珀疾さんは、軽々とあたしの大荷物を取った。


そして左手は、珀疾さんの右手と重なる。


「俺んち行くぞ」

「あっ…は、はい‼︎」

「ほっとけるワケねぇじゃん。お前のこと」


ズルイよ、珀疾さん。


やっぱり大好きだよ……。