優しい先輩はとんでもない不良でした




冬休み中、1人で家にいても息が詰まるだけだった。


すごく会いたいよ……。


いっぱい話して、抱きしめてもらって、キスだってして欲しい。



会いに行ったら迷惑ですか?



気付いた時には、大きなカバンに荷物を詰めていた。


もう一度話したい……。


しつこいかもしれない。


そう思われても後悔しないよ。



チラチラと雪が降る寒い日夜。


初めての家出をした。


終電で押し掛けた珀疾さんち。


記憶を頼りにあの大きな一軒家を探す。



電話、した方が良いよね?


…ううん、やっぱりメールにしよう。


話す勇気が無い意気地なし。



『今、会ってもらえませんか?
珀疾さんのお家の方に来てます』



送信したスマホ片手に、寒空の下を歩く。


お家どこだっけ……。


やっぱり、忘れちゃってるよ…。


歩いても、歩いても道を忘れる一方。



「杏菜…?」


低いのに柔らかな優しい声。


咄嗟に振り返った。


「…珀疾さん……」



探してくれたのかな?


耳と鼻が赤くなってる……。