お互いの駅に向かっていたのは、門限なんてとっくに過ぎた8時。
夏実とは真逆の電車か〜……。
「まったね〜♪杏菜‼︎」
「うん、バイバイ‼︎夏実〜‼︎」
「あと‼︎…悩んでる事あんなら1人で悩むなよー‼︎相談ぐらい乗るから‼︎」
「夏実……。ありがとう‼︎」
千香といい夏実といい……。
あたしは優しい友達に囲まれてる。
家に帰るのは嫌だし、珀疾さんにも未練タラタラ。
だけど、頑張るから。
マンションに着き、そっと家の鍵を開けた。
玄関を見ると、お父さんの靴…。
気が重たいなぁ〜………。
「ただいまー…」
「杏菜‼︎こんな時間まで何してたの‼︎心配したわ〜…」
「ごめんなさい…。お母さん」
「ほんとにお前は……いつまでフラフラしてるんだ‼︎また、あの男か‼︎」
きっと、珀疾さんの事言ってるんだ。
もう何も言われたくないのに…‼︎
「別れろと言ったはずだろう‼︎」
「…っ‼︎別れたよ‼︎…ちゃんと、別れた。これで満足?」
「おい‼︎杏菜‼︎」
泣きたい気持ちをぐっと堪え、部屋へと駆け込んだ。

