優しい先輩はとんでもない不良でした




案内を頼りに初めて来た杏菜の家。


割と新しい造りのマンション。


「お前んち何階?」

「いいよ…」

「は?」

「あたしここで大丈夫だから…。ありがとう…珀疾さん」

「ヤダ。最後まで送らせてくんね?」

「…うん」


背中から聞こえた小さな声。


俺が守ってやんないとダメだ……。



エレベーターで来た4階の一室。


杏菜が家の鍵を開けた瞬間、母親が飛んで来た。


「杏菜‼︎アンタ…何してたの⁉︎」

「ご、ごめんなさい…色々あって…」

「お父さん、すごく心配してるわよ」

「帰って来てるの…?」


杏菜の声に応える様にして、玄関に出て来た父親。


厳格そうな人だ。


「お父さん…」

「お前はこんな時間まで何してたんだ‼︎門限を忘れたのか‼︎」

「…ち、違うもん…」


俯いて両手で顔を隠す。


そんな…杏菜のこと頭ごなしに怒んなくても良いじゃん…。



1番見たくなかった杏菜の泣き顔。


泣きながら謝る姿。


ほっとけるわけねぇじゃん。


「すいませんでした。杏菜は俺のせいで遅くなりました…」