月華〜素直ニナレナイ少女〜


これが、私と理亜の初めての出会い。

この時、まだ幼稚園に通っていた私に初めてできた友達だった。

お父さんと理亜のお父さんが話している間、私はずっと 理亜に読み聞かせをしてもらっていた。

"人魚姫" だったと思う。

何度もなんども、理亜は "人魚姫" を読んだ。

「……好きなの⁇」

私が初めて口を開いた。

理亜はポカンーとした顔をしてから、とびきりの笑顔になって、

「うん‼︎」

と返してくれた。

「この話のね……」

何処が好きなのかまで 長々と話してくれた。

初めてできた友達が楽しそうに話をしているから、何だか 私まで楽しくなって ずっと笑っていたような気がする。

"人魚姫" の話をする理亜の横顔はとてもキラキラと輝いていた。