「いらっしゃいませ~」



今日も私は笑顔でそう言う。


寒さも和らぎ、春の訪れを感じさせるような晴天日。



お客さんの数も最近はまた増え始めた。




「あ、あの…」


「はい?」


後ろから声をかけられ振り返る。



そこには、年齢は私と変わらないくらいの女の子。



「あの、今日は健吾くんいますか?」


ん、ケン…?


「相川でしたら、本日は出勤しておりませんが…」



こんな雲一つない空とは裏腹に、なぜか私の中には雨雲が広がっていくよな気がした。



「相川に何か用件でしたら…」


「あ、いえ。そうじゃないんです。今日は健吾くんには用事じゃなくて…あなたにあって来ました。」



え…?


私…?




「あの、どういったご用件でしょうか?」


「ほ、本当に突然すみません。私、健吾くんと同じ大学でサッカー部のマネージャーをしている宇野紗彩と言います。」



あ、この子…思い出した。


どこかで見たことあるなぁって思ったんだよね。




前に一度、私が車の中からお店を見たときに、ケンと喋っていた子だ。



…ていうか、よく見るとこの子、けっこう今までもお店来てないかな?



常連さんというわけでもないけど、ちょくちょく見る気がする。