「でも、私には何もできなかった」


「……」


「しかし、今ならあなたの役にたてるかもしれない」


「どうして私なんかに…」


「……下心が無いとは言い切れない……」


「えっ!」


「だから、鍵だけはしっかりと掛けて下さいね」


そう言うと、男は優しく笑った。


私もつられて笑った。


久しぶりに笑った。