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「美沙ちゃーん、何でそんな早歩きなのー」


「お腹すいたから」


「じゃあ、ファミレスとか入るー?」


「はるるんは家でご飯作ってもらうでしょ?」


「別に気ぃ使わなくてもいいのにー」


気使ってないしバカ。勘違いしないて。


あたしのために言ってるの。


「………………」


思い出すのは、あの時の妹の顔。


瑠菜瑠菜瑠菜。あたし、会いたいよ。


ダメなお姉ちゃんでごめんなさい。


お母さんお仲良くしてるかな。


幸せだった頃の時間に戻りたい。


…願ったって、無駄なのにね。


バカみたい。


出てきそうな涙を根性で引き留める。


涙は優季の前でのみ。心に決めたのだ。


優季だけが、優季のみが、あたしのことをすべて知っていて、すべてを理解してくれている。


……とあたしは思ってる。一方的なあたしの片想いかも知れないけど。


「……………」


「…………………」


今気付いたんだけど。


ちょっと察してたけど。


目を背けていたけども。


空気重くないですか‼?


何故!!!!???


あたし何かやらかしたしたっけ?


軽くはるるんのお誘い断っただけなんですけど。


え、これが原因?


んなわけないない。いつものことでしょ。


ちろり、はるるんの横顔を盗み見れば、何かがご不満のようで少し眉を寄せていた。


理由が気になる…。


けど、面倒だし、つっこまないでおこう。


あたしはラブアンドピース派だからね。(うそ)


優季にメールして、今から簡単なクッキー作ってもらってこうかなー。


あ、ダメだ。あやつ、簡単なクッキーにも生地を寝かせるやらなんやらで、結構時間をかけるんだった。


「はーるるんるん?」


退屈になってきたあたしは彼に話しかける。


面倒だけど、退屈よりはマシと判断したからだ。


「なーに?美沙ちゃん」


はるるんは流し目であたしを見据えた。


ちっちっちっ。残念ながら、流し目したって、美沙ちゃんは惚れねぇぜ。


あたしが惚れるのは志貴先輩だけさ。